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動画紹介

講義「新約聖書学入門1」第8回(2021年度)

新約聖書学入門1 マタイ福音書(3)愛の掟、ユダヤ教指導者への批判、冤罪者、反ユダヤ主義について村山盛葦

CHAPTER

講義の概要

(4)「愛の掟」の実践者
・9:9-13 罪人との食卓
・12:1-8 安息日論争
  ホセア書6:6「わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない」
マタイの理解
 イエス ⇒律法の本質(愛、他人への配慮)
 ファリサイ派 ⇒儀式的、祭儀的規定を重視

(5)ユダヤ教指導者に対する批判
・6:1-18 偽善的宗教行為
・21:28-32「二人の息子」のたとえ(マタイ特殊資料M)
 父=神、弟=ユダヤ教指導者、兄=徴税人、娼婦たち←「神の国」に先に入る
・21:33-44「ぶどう園と農夫」(マルコ12:1-12)
 ☆21:43「ふさわしい実を結ぶ民族」(マタイの付加)   
          ↓
      キリスト信仰者のグループ(第三の民族)

・23:13-36 偽善者(ファリサイ派と律法学者)に対する7つの悲嘆
   「不幸である(ouai ウーアイ)」☜呪詛ではなく、悲嘆・悲痛の間投詞
 理由:妨害者、改悪者、詭弁者、祭儀的律法のみ、形式主義・虚栄心、迫害者
(参考)玉川直重『新約聖書ギリシア語独習』改訂・新版(キリスト新聞社、2002年)

(6)冤罪者(無実の罪)
マルコ15:6-15とマタイ27:15-26の比較
イエスの無実 
  ↕
ユダヤ当局、ユダヤ民族の責任(有罪)
27:15-18 ピラトの好意
27:19 ピラトの妻の助言(マタイのみ)
27:20 群衆を扇動
27:22-23 群衆の反応
27:24-25 ユダヤ民族の責任(マタイのみ)

☆聖書における反ユダヤ主義?
ユダヤ教に対する批判(マタイ福音書など)
        特定の歴史的文脈における批判
         ⇒同胞に対する「究極的な関心」に基づいた批判・告発・弾劾であって
          断じてその全否定ではない!
    (参照)エウセビオス(秦はた剛平ごうへい訳)『教会史』上「訳者はしがき」8頁)
 正典化(4世紀末)=キリスト教の正典としての文書
 普遍化(反ユダヤ主義の正当化に加担)

資料

レジメ マタイ福音書ダウンロード

総時間数

1時間13分34秒

撮影年月日

2021年3月9日