動画紹介

講義の概要

3. 十字架死の理解について
・マルコ　贖罪死（罪をあがなう死）
　10:45 「身代金」発言（マタイ20:28は採用）
　14:24 イエスの血＝契約の血 //マタイ26:28; ルカ22:20 cf.ヨハネ6:51-58; 1コリ11:25
　15:38 神殿の垂れ幕（至聖所と聖堂を隔てる幕）
　　　…① 神の顕現（局地性・民族性の克服）→異邦人伝道の開始
　　　…② 神殿祭儀（犠牲祭儀）の終焉
☆ユニークな贖罪論：大祭司イエス論（ヘブ9:11-14, 23-28など）

・ルカ　預言者的殉教死（義人の死）
　マルコ10:45を採用せず
　「神殿の垂れ幕」の描写を死の直前へ移行、かつ黙示文学的描写を付加（ルカ23:45-46）
（参考）神の審判と天変地異
　→マルコの贖罪論的理解を後退させている？　

☆殉教死と救済論の関係
正しい人（義人）を殺害… 死そのものではなく、死が促すものが肝要
　 　↓
悔い改め metanoia 「考えの変更、立ち戻り」、
metanoeō 「帰る、立ち戻る」
神の道に立ち戻ること！
　　↓
罪の赦し（ルカ17:3-4; 24:47）　

4. 悔い改めの神学
・イエスの宣教目的（ルカ5:32）
・悔い改めと滅び（13:3）
・罪人の立ち戻りと喜び
　　①「見失った羊」のたとえ（15:7）
　　②「無くした銀貨」のたとえ（15:10）
　　③「放蕩息子」のたとえ（15:17）
　④徴税人ザアカイ（19:1-10）

ルカはどうして贖罪論を後退させ、殉教死を前面に出したのか？
　・倫理的勧告（悔い改め）の受容性
　・「殉教の精神文化」（ソクラテスの殉教など）
　　　　↓
　ギリシア・ローマ世界との互換性を目指した？

（補足）贖罪信仰について
前提：①堅固な神信仰（神の義）、②罪の自覚、③慈愛（赦し）の神

（参考文献）
　ヘンゲル『贖罪―新約聖書におけるその教えの起源』、教文館、2006年
　佐藤研『悲劇と福音―原始キリスト教における悲劇的なるもの』、清水書院、2001年
　青野太潮『「十字架の神学」の成立』、ヨルダン社、1989年

資料

総時間数

1時間1分51秒

撮影年月日

2021年3月16日