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動画紹介

講義「新約聖書学入門1」第12回(2021年度)

新約聖書学入門1 ヨハネ福音書(1)概要、プロローグ、イエスの本質村山盛葦

CHAPTER

講義の概要

1. ヨハネ福音書の概要
・独特なプロローグ(1章)
・独特な表現内容
 「命のパン」「世の光」「よき羊飼い」「私は道であり、真実であり、命である」
・特有のエピソード
カナの婚宴の奇跡、友人ラザロの復活、弟子の洗足など
・ヨハネ福音書の構成(配布プリント)

2. プロローグ(1:1-18)
・冒頭での特徴づけ
 マルコ 「神の子」
 マタイ 「ダビデの子(ユダヤ人メシア)」
 ルカ 「拒絶される預言者」
 ヨハネ 「天からの啓示者」
・共観福音書と類似モチーフ
 受肉(処女降誕)、イエスの受難、キリスト信仰者、洗礼者ヨハネの証言

3. イエスの本質
・「ことば」の本質(1章のプロローグ)=イエスの本質
 「神と共にいる」―アブラハム以前(8:58)、神と共に(17:5)
 「神である」―父とひとつ(10:30; 17:22)、神と同一視(12:44-45; 14:8-11)
 「命である」―復活・命(11:25)
 「光である」―世の光(9:5)
 「この世に来る(受肉)」―天から派遣された(3:13, 16, 17; 17:21, 23, 25)
 「世に拒否される」―ユダヤ人による拒否(5:43)、殺害計画(11:45-57)、受難・死(18-19章)
「神の栄光」(1:14)―神の栄光の具現化(12:41)

・共観福音書:イエスは何をしたのか(活動)、どのような影響を与えたのか(効用)
・ヨハネ福音書:イエスは誰か、何か(本質)
 egw, eimi エゴー・エイミ (I am … ) 「私は~である」 命のパン、世の光、良き羊飼い、道・真実・命、門、など
 金太郎あめ的描写(どこを切っても同じ絵柄)
☆神と同一視☆
 神の正体:「わたしはある(I am who I am; I am what I am)」
LXX 出3:14 egw eimi ho wn
ヘブライ語 エフィエ アシェル エフィエ
אֶהְיֶה אֲשֶׁר אֶהְיֶה  
「いる、ある」訳
「わたしはある。わたしはあるという者だ」(新共同訳)
「私はいる、という者である」(協会訳)
「わたしがいるのだ、確かにいるのだ」(左近淑訳)『左近淑著作集 別巻 聖句研究』(教文館、1998年)99頁

「なる」訳
 「わたしはなる。わたしがなるものに」(岩波訳)
「わたしはなろうとする者である」(フレットハイム訳)T.E.フレットハイム(小友聡訳)『出エジプト記』現代聖書註解(日本キリスト教団出版局、再版、2007年)106頁

★イエスの発言として借用 → ヨハネ8:28, 58; 13:19

資料

レジメ ヨハネ福音書ダウンロード

ヨハネ福音書の構成(資料)ダウンロード

総時間数

1時間2分51秒

撮影年月日

2021年3月17日