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動画紹介

講義「新約聖書学入門1」第10回(2021年度)

新約聖書学入門1 ルカ福音書(2)拒絶された預言者、殉教の預言者村山盛葦

CHAPTER

講義の概要

2. ルカ福音書におけるイエス像
(1)拒絶された預言者
・ナザレで拒否されるエピソード(ルカ4:16-30)
 宣教活動における位置
   宣教活動半ば(マルコ6:1-6; マタイ13:53-58)
   宣教開始直後(ルカ4:16-30)
 イザヤ61:1; 58:6の引用とその成就(ルカ4:18-21)
→ 神から派遣された預言者イエスとその使命
エリヤとエリシャの言及(ルカ4:25-27)
・預言者エリヤ→イスラエル→異邦人(サレプタのやもめ)(列王記上17:9)
・預言者エリシャ→イスラエル→異邦人(シリア人ナアマン)(列王記下5:14)
・預言者イエス→拒否→(異邦人)
・マリアの賛歌(ルカ1:46-55)とハンナ(預言者サムエルの母)の賛歌(サム上2:1-10) 
 … 奇跡的な懐妊、貧しい者(低い者)の格上げ
・やもめの一人息子を蘇生(ルカ7:11-17)と預言者エリヤの奇跡(列王記上17:17-24)
 … 「大預言者が我々の間に現れた」(ルカ7:16)

(2)殉教の預言者
・預言者の(悲しき)伝統
  預 言 者 (神の代弁者)
  ↓ 神託(断罪、審判) ↑ 無視・迫害・殺害
  指 導 者 ( 王 )、 民 衆 
☆マタイ5:11-12; 23:29-31, 37; 使7:52; ヘブ11:32-38
☆旧約偽典『イザヤの殉教』、『預言者の生涯』など
・エルサレムを嘆く場面
 マタイ23:37-39とルカ13:31-35の比較
 ルカ13:33 「だが、、、預言者がエルサレム以外の所で死ぬことは、ありえないからだ」
→神によって選ばれた預言者として運命を受容
 ☆ルカ9:35; 23:35 「選ばれた者」としてのイエス(←ルカだけの文言)

・オリーブ山の祈り(ゲツセマネの祈り)
マルコ14:32-42  と  ルカ22:39-46 の比較
 14:33「ひどく恐れもだえ始め」(ルカにない)
 14:34「わたしは死ぬばかりに悲しい」(ルカにない)
 14:35 苦悩するイエス → 簡素化(ルカ22:41)
 14:36, 39, 41 三度の熱烈な祈り → ただ一度(ルカ22:42)
→ルカでは人間的な不安や疑いが後退

・十字架の場面
ルカ23:26-49 冗舌、平静なイエス(マルコ15:21-41 寡黙、絶望のイエス) 
 23:28-31 女性へ預言のことば(エルサレムへの審判、19:41-44も参照)
 23:43 囚人への救いのことば
 23:46 最期のことば「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」(詩31:6)
 23:47 百人隊長のことば「本当に、この人は正しい人だった」 → 「義人の死」のテーマ(マカバイ記1、4など) 

3. 十字架死の理解について
・マルコ 贖罪死(罪をあがなう死)
 10:45 「身代金」発言(マタイ20:28は採用)
 14:24 イエスの血=契約の血 //マタイ26:28; ルカ22:20 cf.ヨハネ6:51-58; 1コリ11:25
 15:38 神殿の垂れ幕(至聖所と聖堂を隔てる幕)
   …① 神の顕現(局地性・民族性の克服)→異邦人伝道の開始
   …② 神殿祭儀(犠牲祭儀)の終焉
☆ユニークな贖罪論:大祭司イエス論(ヘブ9:11-14, 23-28など)

・ルカ 預言者的殉教死(義人の死)
 マルコ10:45を採用せず
 「神殿の垂れ幕」の描写を死の直前へ移行、かつ黙示文学的描写を付加(ルカ23:45-46)
(参考)神の審判と天変地異
 →マルコの贖罪論的理解を後退させている? 

☆殉教死と救済論の関係
正しい人(義人)を殺害… 死そのものではなく、死が促すものが肝要
   ↓
悔い改め metanoia 「考えの変更、立ち戻り」、
metanoeō 「帰る、立ち戻る」
神の道に立ち戻ること!
  ↓
罪の赦し(ルカ17:3-4; 24:47)

資料

レジメ ルカ福音書ダウンロード

総時間数

1時間5分30秒

撮影年月日

2021年3月15日